「ハズビン・ホテル」シーズン2 過激な社会風刺と名作映画オマージュ

ミュージカル専門ポッドキャスト『overture』にて、人気アニメシリーズ『ハズビン・ホテルへようこそ』シーズン2の第5話と第6話について深く語られた。

番組の冒頭では、ブロードウェイで行われたライブイベントの映像がAmazon Prime Videoで配信中であることに言及。キャストの圧巻の歌唱力や、国境を越えて共通するファンの熱狂ぶりに触れ、「オタクって同じ反応するんだなっていうのが、個人的に…本当に日米共通なんだなって思った」と面白そうに紹介した。

辛辣な社会風刺が描かれた第5話

第5話の振り返りでは、そのあまりに辛い展開に「よくもこんな嫌な展開を考えつくなっていうぐらい」と驚きを隠せない様子。物語は、主人公チャーリーの計画が裏目に出てホテルの悪評が広まる中、父であるルシファーが助けに現れるも、敵役であるボックスの巧みな情報操作によって窮地に陥るというものだ。

話者は、ボックスが民衆を扇動する様子を、現実の政治プロパガンダになぞらえて考察。「完全にその、選挙の時の、アメリカのね、大統領選の映像とかで日本で見てた映像にしか見えない」と指摘し、「確か私『Make Hell Great Again』っていうセリフを言ってるのを聞いた気がする」と、作品に込められた痛烈な社会風刺について言及した。

ルシファーが娘のために戦おうとするも、逆に「民衆の声を聞いてない王様」というレッテルを貼られ、大衆の怒りがボックスの望む方向へ誘導されていく最悪の状況に、終始鳥肌が立ったと明かしている。

母に認められたい、チャーリーの告白

続く第6話では、物語の核心に迫る大きな動きがあった。これまで地獄の罪人たちを救うという崇高な目的のために奔走していると思われたチャーリー。しかし、その動機が「私ずっとお母さんに認められたかったんだよ」という、極めて個人的なものであったことが初めて吐露されたのだ。

この衝撃の告白に、話者は「ここまで私たち視聴者って、チャーリーって本当に心が綺麗な人で、地獄のみんなが死んでいくのが許せなくてハズビン・ホテルを始めたんだろうってこう思ってたんですけど、どこかで。やっぱりこれ彼女のお母さんに認められたいっていう動機だったんだってことが結構、はあ、うまくできてるって思いました」と深く感心。

純粋な理想主義者に見えた主人公の人間的な葛藤が明かされたことで、物語に一層の深みが生まれたと分析する。

『ロジャー・ラビット』への愛溢れるオマージュ

第6話のもう一つの見どころとして、ハスクとエンジェル・ダストのパートが挙げられた。特にエンジェルが歌う新曲「Losing Streak」のシーンについて、話者は熱を込めて語っている。

このシーンが、1988年公開の名作映画『ロジャー・ラビット』に登場するジェシカ・ラビットの歌唱シーンの完璧なオマージュであると指摘。

「見たときめっちゃ鳥肌立ったんですけど、『ロジャー・ラビット』のジェシカ・ラビットが歌う曲のシーンまんま再現だったんですよ」と大興奮の様子であった。

キャラクターの動きや衣装、ドレスのラメの輝きといった細部に至るまで徹底的に再現されているといい、「やっぱこの作者のビビアンさんと通ってきたものが本当に同じなんだなって思って」と、作り手の作品愛に感動しきりとなった。

最後に、シーズン2全体を貫くテーマとして「プロパガンダとの戦い、陰謀論との戦いみたいなところがずっとありますね」と総括。ボックス率いる敵陣営の策略と、それに翻弄される主人公たちの姿を通して、現代社会が抱える問題を浮き彫りにしていると考察した。

多くの謎と伏線を残したまま、クライマックスに向けて物語が大きく動き出した5話・6話。残り2話でどのような決着を迎えるのか、最後まで目が離せない展開となりそうだ。