三好剛平氏、傑作映画『ハウス・オブ・ダイナマイト』を熱弁

クリエイティブプロデューサーの三好剛平氏がラジオ番組に出演し、Netflixで独占配信中のアメリカ映画『ハウス・オブ・ダイナマイト』について熱弁を振るった。三好氏は「この作品はずっと紹介したかったんですけど、いよいよ紹介できるタイミングが来ました」と切り出し、今観るべき一本として力強く推薦した。

わずか19分間の圧巻のスリル

物語のあらすじは極めてシンプルである。ある朝、米国を標的とした所属不明の大陸間弾道ミサイルが発射されたことが判明する。着弾まで残された時間はわずか19分。この危機に対し、様々な分野の専門家たちが最悪の事態を回避すべく動き出す様を描くサスペンススリラーだ。三好氏はこの映画を「圧巻のスリルで描かれる、傑作」と断言。さらに「残念ながらかもしれませんが、2024年の今、私たちが観ておかなければならない1本になってしまった」と、その重要性を語った。

監督は、イラク戦争の爆弾処理班を描いた『ハート・ロッカー』でアカデミー賞監督賞を女性として初めて受賞したキャスリン・ビグロー。三好氏は「手がけた作品に駄作なしと言い切っていい」と全幅の信頼を寄せる名匠である。本作も配信に先駆けてヴェネチア国際映画祭でプレミア上映されると、最高賞である金獅子賞を受賞。世界的な評価の高さを証明する形となった。

冒頭7分で確信した傑作の出来栄え

三好氏は、その完成度の高さを「上映開始ボタンを押してNetflixで観始めて、わずか7分で『あ、もうこれは傑作だわ』と確信しました」と大絶賛。冒頭の何気ない日常風景の描写だけで、その後に待ち受ける悲劇への動線が鮮やかに配備されており、そこから約2時間は息つく間もなく引き込まれると解説した。

特に見事なのが映画の構成だという。本作は3部構成となっており、それぞれに付けられたサブタイトルが、現代社会の危うさを暗示するものとなっている。

第1章は『傾斜は水平に』。かつて大国間のパワーバランスで保たれていた均衡が、核保有の水平化によって崩れた危険性を指摘。

続く第2章『弾丸で弾丸を撃つ』では、大国アメリカですら、一度発射されたミサイルへの対抗策が極めて脆い現実を突きつける。

そして第3章のタイトルは「爆薬の詰まった家」。これは、私たちが生きるこの世界そのものが、一つの掛け違いで全てが吹き飛ぶほど危うい状態にあることを象徴していると説明した。

私たちが今観るべき理由とは

三好氏は、この映画が突きつけるのは、現代を生きる我々自身の問題であると強調する。世界に1万2000発以上も存在する核兵器の現状を挙げ、「たった一つの着火が、たとえ火遊びのつもりだったとしても、世界全体を吹き飛ばす決定的な引き金になる」という現実を軽視すべきではないと警鐘を鳴らした。

劇中、ミサイル着弾が不可避となった状況で「報復か、対話か」を迫られるシーンに触れ、安易に報復的な姿勢に傾くことが、自国を守るどころか「自殺行為ですらあり得る」と痛感させられると語った。

最後に三好氏は、「世界はたった1発のミサイル、そして20分にも満たない時間で終わりを迎えられる」という現実を胸に刻むべきだとし、「紛れもなく2025年の私たちが絶対に観ておくべき傑作です」と締めくくった。

この熱弁に、スタジオからも「年末年始にじっくり見たい」「世界平和を願わずにはいられない」といった声が上がっていた。