鈴木哲夫氏、高市発言の舞台裏と経済対策を鋭く分析

ジャーナリストの鈴木哲夫氏がラジオ番組に出演し、高市総理大臣の台湾有事に関する答弁と、21兆円を超える規模の経済対策について鋭く切り込んだ。鈴木氏は独自の取材に基づき、政府の方針に潜む問題点を浮き彫りにした。

自衛隊の本音「手の内を明かすべきでなかった」

まず鈴木氏が焦点を当てたのは、高市総理が衆院予算委員会で行った台湾有事に関する答弁である。

この発言以降、中国側の反発が強まっているが、鈴木氏は、この問題を考える上で最も重要な当事者は「自衛隊だと思うんですよ」と指摘。現役・OBを問わず自衛隊関係者に取材を行った結果、意外な本音が明らかになったと語った。

関係者の多くが口を揃えたのは、安全保障の戦術上、総理の発言は「あまりよろしくないんだ」という評価であった。鈴木氏は、「まさにその表現を何人かが同じ表現をした。『手の内を明かしちゃいけないんです』と。戦略上ね」と、取材で得た生々しい証言を明かす。

中国は日本の動きを探るため、常に情報収集を行っているという。そうした状況下で最も効果的なのは、「『さあ、そん時なってみないと分からないよね』っていうのが一番効果的なんですって」と、あえて態度を明確にしないことだったと解説した。

この「どう動くか分からない」という曖昧さが、中国に対する最大の牽制、いわゆるブラフとして機能していた。

しかし、国の最高指揮官である総理が具体的な可能性に言及してしまったことで、「手の内をやっぱり明かしたっていうのは、戦術上、やっぱりまずかったんじゃないかな」と、自衛隊関係者が抱く戦略上の懸念を代弁。総理と現場の意思疎通が不足していた可能性を示唆した。

日中関係の鍵「二重外交」パイプ役の不在

さらに鈴木氏は、外務省OBらの見解として、現在の日中関係には公式ルートとは別の「パイプがない」という問題があると分析。かつて日韓関係が冷え込んだ際も、国会議員による日韓議連が裏で関係を繋ぎ止める「二重外交」が機能していたと説明する。

日中関係においても、かつては二階俊博氏や公明党、岸田政権下では森山裕氏といったパイプ役が存在した。

しかし、「正直言って今はそれがいないっていうんですね」と述べ、政府間で緊張が高まった際に、それを緩和する非公式なチャンネルが失われている現状に警鐘を鳴らした。このパイプ役の不在が、今回の問題を長引かせる一因になっているとの見方を示している。

21兆円経済対策「やってることの上乗せでしかない」

話題は21兆円超の経済対策へ。鈴木氏は、ガソリン価格への対応など評価する声もあるとしつつ、「よく見てみると、これまでやってたことの上乗せでしかないんですよね」と厳しく指摘した。物価高に苦しむ国民感覚として最も効果的とみられる「消費税減税」には一切手をつけず、場当たり的な支援に終始していると断じたのである。

鈴木氏は、「結局どれも例えば自治体を回って、例えば商品券だとか、お米券だとかね、そういうのが来たとしても、これ今までのものと同じ」と具体例を挙げ、給付金などの一時しのぎの政策では根本的な解決にならないと主張。

「長期的には何をすべきか。やっぱり僕は個人的には消費税減税しかないと思っている」と持論を展開し、根本的な対策に踏み込まない政府の姿勢に「これで果たしていいのかな」と疑問を投げかけた。

最後に鈴木氏は、円安などの問題も深刻化している中、目先の支援策だけで評価するのではなく、国会での議論を冷静に見極める必要があると強調。「この辺はちょっとしっかり国会の議論を僕は見ないといけないと思いますね」と語り、国民一人ひとりが政策の本質を見抜く重要性を強く訴えた。