元日本代表・佐藤寿人 サッカーエリートへの険しい道のり

ラジオディレクターやプロデューサーとして活躍する石井玄氏がパーソナリティを務めるポッドキャスト番組「滔々話」に、元サッカー日本代表の佐藤寿人氏がゲストとして登場。実は埼玉県春日部市出身の幼馴染である二人が、サッカーに明け暮れた少年時代や、佐藤氏がプロに至るまでの壮絶なキャリアについて語り合った。

幼馴染が明かす石井玄の過去

番組冒頭、石井氏は佐藤氏を「幼馴染って言えばいいんですよね」と紹介。石井氏の実兄と佐藤氏が親友で、歩いて5分もかからないご近所だったという意外な関係性が明かされた。石井家と佐藤家は家族ぐるみの付き合いだったようで、佐藤氏は「（石井家に）泊まりに来てた。その距離で」と、すぐ帰れる距離にもかかわらず泊まりに行っていたという微笑ましいエピソードを披露した。

そんな旧知の仲である佐藤氏は、石井氏の子供の頃の印象を尋ねられると、「本当に考えられないぐらい、今の。めっちゃ可愛かったです」と即答。さらに「本当に髪もサラサラで、本当にエンジェルリングができるぐらいの。で、すごい本当にまあ可愛らしい弟みたいな」と続け、現在の姿からは想像もつかないほどの“可愛すぎた”過去を暴露した。これには石井氏本人も「可愛かったよね。でもちっちゃかったよね」と認め、スタジオは和やかな空気に包まれた。

サッカーエリートへの険しい道のり

話題は、Jリーグ歴代1位の通算220得点を記録した佐藤氏のサッカー人生の原点へ。小学校卒業時、Jリーグクラブのジュニアユースに入るため、家族全員で千葉県へ引っ越したという驚きの過去を告白。

当時ラーメン屋を営んでいた父親が店をたたみ、未知の土地で新たな仕事に就くという大きな決断であった。佐藤氏は「全く理解できなくて」と当時を振り返るが、その後のサッカー人生を決定づける大きな一歩となった。

しかし、その道は決して平坦ではなかった。全国から精鋭が集まるジュニアユースのレベルの高さに圧倒され、すぐに「やめたい」と思ったという。さらに、当時は1年間で所属メンバーの半分がふるいにかけられるという過酷な環境。

「30人ぐらい当時入って、もう15人で首っていう」と、中学1年生にしてプロの世界の厳しさを突きつけられる日々であったことを明かした。そんな中、元ドイツ代表のピエール・リトバルスキー氏から受けた「シュートはゴールへのパスだよ」という指導が、ストライカーとしての哲学を形成する大きな転機になったと語った。

「谷間の世代」と呼ばれた悔しさ

ユース年代でも厳しい競争は続く。同級生には後に日本代表で長く活躍する阿部勇樹選手がおり、常にその背中を追いかける存在だったという。世代別の日本代表にも選出されたが、1つ下の年代の代表に「追加で選んでもらって」という状況で、「なんで呼ばれねえんだって」と悔しい思いを抱えていたことを吐露。

さらに、小野伸二らを擁した「ゴールデンエイジ」の後の世代だったことから、当時は「谷間の世代」と揶揄されていた。

U-20ワールドカップで結果を残せなかった際には、「代表で成田に帰ってきたら、生卵ぶつけようぜっていうのを、当時僕がやってたブログに書き込まれたりとか」と、心無い批判に晒された衝撃の事実を告白。

世界の舞台で戦うことの重圧と、若き日に味わった大きな挫折を振り返った。プロ入り前の話だけで大いに盛り上がった今回の放送。次回、プロとして歩んだ輝かしいキャリアがどのように語られるのか、注目が集まる。