ゴリけんが語る、山岡鉄舟とアンパンマンの意外な絆

お笑い芸人のゴリけんがパーソナリティを務めるポッドキャスト番組「ゴリけんの諸説あります！」にて、歴史上の人物と国民的キャラクターを結びつけるユニークな「諸説」が披露された。今回、ゴリけんが熱弁したのは、幕末の偉人「山岡鉄舟」と、誰もが知るヒーロー「アンパンマン」の驚くべき関係性である。

江戸を救った知られざる偉人

番組冒頭、ゴリけんは幕末のスターとして坂本龍馬や西郷隆盛を挙げながらも、「名前は聞いたことあるけど、何をしたんだろうっていう人」として山岡鉄舟の名を提示した。鉄舟は、戊辰戦争の最終局面において、新政府軍による江戸総攻撃を回避させた「江戸無血開城」を陰で支えた最大の功労者だと語る。

新政府軍を率いる西郷隆盛と、幕府側の勝海舟による歴史的な会談が行われたが、ゴリけんは「この裏で段取った人がこの山岡鉄舟なんですよ」と、その重要性を強調した。交渉役を探していた勝海舟が鉄舟と面会した際、「龍馬と同じ匂いがした」と感じ、日本の未来を左右する大役を託したという逸話も紹介。表舞台の華々しい活躍の裏で、歴史を動かしたネゴシエーターの存在を明らかにした。

命懸けの交渉と西郷を動かした魂の訴え

鉄舟に与えられた任務は、敵陣に乗り込み、総攻撃を主張する西郷隆盛を説得するという、まさに命懸けのものであった。ゴリけんは「殺されてもおかしくないですよね」「自分の命を犠牲にしてまで、徳川幕府、いわゆる日本を救いたかったんですよ」と、鉄舟の壮絶な覚悟を解説する。

交渉の場で西郷は江戸城の明け渡しなど複数の条件を突きつけたが、鉄舟は徳川慶喜の身柄引き渡しという一点だけは断固として拒否。その際、鉄舟は涙ながらに西郷へ訴えかけたという。「西郷に対して『もしね、あんた方のその薩摩藩の島津の殿様をね、同じ立場の時に外の藩に引き渡せってあんた言われたらどうする』って。それあなた受け入れることできますか、と」。

この魂の問いかけに、西郷は「確かにおまんの言う通りだ」と心を動かされ、条件の見直しを承諾するに至った。この交渉を目の当たりにした西郷は、後に鉄舟を「金もいらぬ、名もいらぬ、命もいらぬ人は始末に困るけど、そのような人でなければ天下の偉業は成し遂げられないなあ」と高く評価したとされている。

あんぱんが繋ぐ鉄舟とアンパンマンの魂

無事に内戦を終結させた鉄舟には、武骨なイメージとは異なる意外な一面があった。ゴリけんは、鉄舟が銀座・木村屋のあんぱんをたいそう気に入り、「『これはうまい』って気に入って、明治天皇に献上するのがこの山岡鉄舟なんですよ」という驚きのエピソードを披露。さらに、現在も銀座に掲げられている「木村屋」の看板の文字は、書家としても優れていた鉄舟自身が書いたものであることを明かした。

そして話は、ゴリけん流「諸説」のクライマックスへ。鉄舟の活躍から約100年後、お腹を空かせた人に自らの顔を分け与える自己犠牲のヒーロー「アンパンマン」が誕生する。

ゴリけんは、作者のやなせたかし氏が、あんぱんの歴史を調べる中で木村屋と鉄舟の繋がりにたどり着き、私利私欲なく日本を救った鉄舟の生き様に感銘を受けてアンパンマンのキャラクターを創造したのではないか、という壮大な仮説を展開。

「自分を犠牲にしてっていうのにたどり着いた」と、鉄舟の精神がアンパンマンに受け継がれている可能性を力説し、「強く諸説あります」と締めくくった。歴史の点と点が繋がるロマンあふれるトークに、スタジオも感心しきりの様子であった。