谷口真由美氏、デジタル教科書導入に潜む危険性を解説
法学者の谷口真由美氏が、文部科学省が2030年度からの本格導入を目指す「デジタル教科書」について、その課題と懸念を詳しく解説した。文科省の方針に対し、ある調査では対象となった教育委員会の6割が懸念を示しており、谷口氏は「単純な、デジタルがいいとか、紙がいいとかっていう話ではなくて、何が問題なのか、どんな課題があるのか」と問題提起。海外の事例を交えながら、多角的な視点から日本の教育の未来に警鐘を鳴らしている。
先行導入した海外では学力低下も
谷口氏はまず、デジタル教育の先進国であった海外の失敗事例を紹介した。特にスウェーデンでは、2006年から学習用端末を1人1台配備し、急速なデジタル化を進めた結果、国際的な学力調査の成績が大幅に下落したという。
具体的には「子供の集中力が続かないこととか、思考が深まらない、で、長文の読み書きができない」といった問題が浮上。紙の本に触れる機会が減ったことも学力低下の一因と分析され、2023年には法改正で「印刷された学習教材を教科書」と再定義し、紙と鉛筆を使うアナログ教育へ回帰する動きを見せていると説明する。
また、隣国の韓国でもAI搭載デジタル教科書の全面導入を計画していたものの、個人情報保護やデバイス中毒への懸念から、来年度の1学期のみの導入で即時廃止が決定したとのこと。こうした他国の失敗から学ぶ必要性を強く訴えた。
メリットとデメリット、両面の課題
一方で、谷口氏はデジタル教科書の利点も認めている。英語などの語学における音声学習や、理科におけるDNAの螺旋構造などを立体的に見せる3D可視化は、デジタルならではの強みであると語る。
さらに、音声読み上げ機能など、障害のある児童生徒への支援、いわゆるアクセシビリティの向上に大きく貢献する点は大きなメリットだ。しかし、その裏には多くの課題が潜んでいるという指摘。
特に「国語とか数字っていうのは、書いて覚えるっていうプロセスが非常に重要だ」と述べ、脳科学の観点からもデジタルでは思考が深まりにくく、記憶が定着しにくいという懸念を示した。
その他にも、視力低下などの健康問題、集中力の低下、家庭ごとの通信環境の格差や充電にかかる電気代の負担といった現実的な問題も挙げられる。さらに、教員側の研修不足による現場の混乱や、デバイス依存、個人情報漏洩のリスクなど、解決すべき課題は山積しているのが実情となった。
これらの点を踏まえ、谷口氏は完全なデジタル化には慎重な姿勢を見せた。重要なのは「適材適所」であり、教科や単元によって最適なツールを使い分けることだと強調する。自身もパソコンの使用で漢字が書けなくなるなど「手書きの能力低下してるなと思う」と実感しているそうで、読めることと書けることは違うと力説。
結論として、「デジタルか紙かっていう、そういう対立の問題ではなくて、どういうふうに、使っていくとバランスがいいのか」を考えるべきだと提言した。デジタル化そのものが目的化することを危惧し、他国の事例を参考に段階的な導入と効果検証、そして何より現場の教員への十分なサポート体制を構築することが不可欠であると締めくくっている。
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