法定養育費2万円、専門家が語る深刻な実態
2026年4月に導入される「法定養育費」制度について、「法学者・谷口真由美のBrush Up」がその課題を詳しく解説した。法務省が固めた子供1人当たり月額2万円という方針に対し、日本のひとり親世帯が直面する厳しい現実を浮き彫りにしている。
深刻な養育費不払いの実態
番組ではまず、日本の養育費における深刻な現状が明らかにされた。離婚した別居親のうち、実に7割以上が養育費を支払っていないという驚くべき実態。これは先進国の中でも異常に低い水準であると指摘する。
特に母子世帯に限定すると、養育費を受け取れているのはわずか28.1%で、「1度も受け取ったことがない」と答えた世帯が56%にも上るという。そもそも離婚時に養育費の取り決めをしている夫婦自体が半数にも満たないため、不払いが発生しても回収が極めて困難な状況となっている。
仮に弁護士に回収を依頼した場合、平均で70万円から100万円もの費用がかかることもあり、多くの人が泣き寝入りを余儀なくされているのが実情だ。
「子供の権利」意識の欠如が問題
なぜこれほどまでに不払いが横行するのか。その根底には、養育費が「子供の権利であるという認識が社会全体、社会的に不足してる」ことがあると専門家は語る。支払う側が「元妻にお金を送るのは嫌だ」といったように、元配偶者への仕送りと誤解しているケースが少なくないというのだ。
これは子供が健やかに育つために使われるべき費用であり、大人同士の感情で左右されてはならないもの。しかし、現状では支払わなくても罰則規定はなく、不払いに対する抑止力が非常に弱い。
その結果、ひとり親世帯の貧困率は50%に達し、2世帯に1世帯が貧困家庭という厳しい現実に。特に母子世帯の平均年収は243万円と低く、子供の教育機会が奪われる「教育格差」の拡大や、親が仕事を掛け持ちすることで子供との時間が減少し、心理的なストレスや社会的孤立につながるという負のスパイラルを生んでいる。
月2万円では到底足りない養育コスト
今回の方針で示された「月額2万円」という金額は、こうした現状を改善できるのか。専門家は、子供1人を育てるのにかかる費用を具体的に提示し、その金額では到底賄えないと断言した。
教育費だけでも、全て国公立に進んだ場合で約800万円、私立大学まで含めると平均で1000万円以上、近年の調査では1489万円にまで上昇しているという。さらに、これには食費や衣料費などの生活費は含まれていない。
内閣府の調査によれば、0歳から大学を卒業する22歳までにかかる養育費の総額は約2085万円。これらを合算すると、子供1人にかかる費用は「最低でも2900万円」、約3000万円にもなると試算される。この莫大なコストを前に、月2万円という法定養育費がいかに不十分であるかは火を見るより明らかだろう。
谷口氏は、「割りを食ってんのは誰かっていう話を考えなきゃいけなくて」と、最もつらい思いをするのは子供であると強く訴え、社会全体でひとり親世帯を支える仕組みを整備する必要性を説いた。この問題は、経済的困窮の負の連鎖を断ち切るための重要な社会課題だと言える。
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