賃上げ要求の運転手、理不尽解雇との孤独な戦い
RKBラジオの番組で、労働組合の活動を理由に不当な解雇をされたトラック運転手の過酷な実態が、同局の浅上旺太郎記者によって語られた。賃上げを求めた運転手が、会社から「建造物侵入」で刑事告訴された末に解雇されるという、にわかには信じがたい事件の全貌が明らかになった。
賃上げ要求から理不尽な解雇へ
この問題の当事者は、千葉県松戸市の運送会社「日本鉄鋼物流」に勤務していた横手政志さん(59)。鋼材を運ぶトラック運転手として26年間勤めてきたベテランである。浅上記者によると、横手さんはおととし4月、会社の労働組合を通じて月額1万円のベースアップと深夜手当の増額を要求。しかし、会社側はこれを拒否した。
そこで横手さんらは、決定権を持つ親会社「新日本物流」に団体交渉を求める要求書を直接提出しようと、同社が入居するビルを訪問。すると、これが思わぬ事態を招く。親会社は、横手さんらの訪問を「建造物侵入罪等にあたる」として刑事告訴したのである。この告訴に対し、スタジオの共演者からは「ええーっ!そんなのありなんですか?」と驚愕の声が上がった。
横手さんは書類送検されたものの、最終的には不起訴処分となり罪には問われなかった。だが、会社側は「実質的には犯罪の嫌疑が十分確認された」と一方的に判断し、昨年2月に横手さんを解雇。労働者の正当な権利行使が、職を失うという最悪の結果につながった。
収入ゼロで住宅ローン、困窮する生活
突然の解雇は、横手さんの生活を根底から揺るがした。妻と2人の娘を養う大黒柱でありながら、収入はゼロに。さらに、横手さんは50歳の時に30年ローンで一戸建てを購入しており、解雇された時点でまだ21年分のローンが残っていた。
「定年まで働けることを見越して家を買ったのに、完全に計算外だ」という、その絶望的な状況が語られた。浅上記者は、横手さんが「こんなことを平気でやられることにはものすごい憤りを感じます」と、静かながらも強い怒りをにじませていたと明かした。
勝訴判決後も続く会社との泥沼の戦い
もちろん横手さんも泣き寝入りしたわけではない。解雇の無効と、解雇期間中の賃金の支払いを求めてさいたま地裁に提訴。今年9月、裁判所は横手さんの訴えを概ね認める判決を出している。
さらに、埼玉県の労働委員会も解雇を無効とする救済命令を出した。しかし、会社側は地裁判決を不服として東京高裁に控訴。命令にも従わず、解雇から1年半以上が経過した今も、横手さんは解雇されたままで賃金も支払われていないという。
ここまでされてもなお、横手さんは会社への復職を望んでいる。その理由について浅上記者は、「26年間勤め、鉄鋼を運ぶ仕事に自信と誇りを持っている。取引先との関係も良好で、問題は経営者、オーナーだけだ」という横手さんの思いを代弁。長年培ってきた経験と仕事への愛着が、彼の戦いを支える原動力となっているのだ。
専門家が指摘する運送業界の構造問題
なぜ会社はここまで強硬な姿勢を崩さないのか。この点について、西南学院大学の有田教授は、運送業界にみられる「比較的に規模の小さいオーナー企業、ワンマン企業が少なくない」という構造的な問題を指摘する。
そうした企業では、経営者側に労働組合や労働者の権利に対する理解が薄い傾向があるという。浅上記者は、「労働組合を大切にすることが会社をうまく回すことにつながる」という専門家の言葉を引用し、労使の健全な関係構築の重要性を訴えかけた。
この問題は、横手さんがRKBの別の報道を見て連絡してきたことで取材につながったという。高裁の判決は年末から年明けに出る見込みだが、最高裁まで争われる可能性も示唆されており、戦いはまだしばらく続くとみられる。
※この記事はPodcast番組をもとにAIを用いて自動生成されたもので、誤った情報や不完全な記述を含む可能性があります。正確性や品質は保証されませんので、必要に応じて他の情報もあわせてご参照ください。