精鋭90人「空飛ぶ海猿」、新人隊員の過酷な試練

2025年12月4日

RKB毎日放送のラジオ番組で、海上保安庁の精鋭部隊「機動救難士」を目指す一人の若者に密着したドキュメンタリーが紹介され、その過酷な訓練内容と人命救助にかける熱い思いが大きな反響を呼んでいる。全国に約1万5000人いる海上保安官のうち、わずか90人しかなれないという機動救難士。まさに選ばれし者たちの世界である。

「空飛ぶ海猿」への険しい道のり

今回、RKB報道部の浅上旺太郎記者が密着したのは、山林澪さん。北九州空港のそばにある海上保安庁の機動救難隊基地に、今年4月に配属された新人だ。

もともとは「海猿」として知られる潜水士として5年間活躍していたが、「生きている人を早く行って早く助けたい」という強い思いから、ヘリコプターで現場に急行し、空から降下して救助にあたる「空飛ぶ海猿」こと機動救難士への道を決意したという。

事故や急病人が発生した際、ヘリコプターからロープ一本で降下し、要救助者を迅速に引き上げて病院へ搬送する。その機動力が彼らの最大の武器となっている。

建物を船に見立てた超リアルな訓練

一人前の隊員になるためには、先輩隊員が考案した「見極め訓練」を突破しなければならない。その訓練は、過去の経験に基づき、あらゆる事態を想定して綿密に作り込まれている。浅上記者が特に驚いたと語るのは、実際の船や海が使えない状況で行われる陸上訓練。隊員たちの事務所である2階建ての建物を貨物船に、その屋上を甲板に、そして約8メートル下の地上を船倉の底に見立て、人が転落したという想定で訓練を始めるのである。

状況設定は極めて細かく、船の種類や現在位置、搬送先の病院までシミュレーションし、どのような機材が必要かを瞬時に判断する能力が求められるのだ。さらに、要救助者役の隊員の服を実際にハサミで切り裂いて容体を確認するなど、そのリアリティは徹底している。「これをしないと本番ではできない」という信念のもと、すべてが本番さながらに行われる。

先輩隊員の魂の指導「一番きついのは…」

訓練では屈強な体力も不可欠だ。クレーンが使えない状況を想定し、人の体重と10kg以上の器具で合計70〜80kgにもなる担架を、ロープだけを使って人力で引き上げる場面もあったという。そんな極限状態の中、訓練担当の先輩隊員の鋭い視線が光る。

山林さんは担架を引き上げることに集中するあまり、要救助者役の隊員への声かけを怠ってしまった。その瞬間、厳しい指摘が飛ぶ。先輩は「一番きついのは助けられる人だから、そこにまず声をかけないと」と諭した。

浅上記者は、「“一番きついのは山林、お前じゃないんだ。今助けられようとしてる、救助を求めてる人なんだ”というようなことがあったわけですね」と、その時の緊迫したやり取りを振り返った。技術や体力だけでなく、常に要救助者を第一に考えるという、救助のプロとしての魂を叩き込まれる瞬間であった。

幾多の厳しい訓練と試練を乗り越え、山林さんは11月後半、ついに見極め訓練を突破。それまでの青いユニフォームを脱ぎ、憧れであったオレンジ色の制服に袖を通すことが許された。我々の知らないところで、こうした隊員たちの命がけの努力が、今日も尊い命を繋いでいるということだ。

※この記事はPodcast番組をもとにAIを用いて自動生成されたもので、誤った情報や不完全な記述を含む可能性があります。正確性や品質は保証されませんので、必要に応じて他の情報もあわせてご参照ください。