鳥丸聡氏が九州経済を解説、好景気の裏側とは
エコノミストの鳥丸聡氏が、先日放送されたラジオ番組で、12月の日銀短観をもとに九州経済の現状を鋭く分析。好調に見える景気の裏側や、忍び寄る円安のリスクについて語り、注目を集めている。
20年前の英断が今の九州を支える
番組の冒頭、鳥丸氏は本題に入る前に、先日亡くなった元北九州市長・末吉興一氏との思い出を語り始めた。
今から30年近く前、北九州市響灘の広大な遊休地の活用計画調査を担当した際に、末吉市長へ報告を行ったという。当時まとめた環境資源エネルギー拠点の整備案に対し、末吉市長が「それいいね」と即座に反応。その一言から、国への強力な働きかけが始まり、現在のエコタウン指定、さらには日本最大級の洋上風力発電基地の立地へと繋がったと述懐。その政治力に感銘を受けたと振り返った。
バブル崩壊後、日本全体が公共投資に及び腰だった時代に、新北九州空港や門司港レトロといった事業を「選択と集中による責任ある積極財政」で実現させた末吉氏。その20年以上前の英断が、60年ぶりの転入超過を記録するなど、近年の北九州市の活気の基盤になっていると分析。「今の中央政府はばらまきによる積極財政ばかり。ぜひ末吉市長に学んでいただきたい」と熱弁を振るい、故人を偲んだ。
九州沖縄の好景気、そのカラクリとは
本題の日銀短観に話題が移ると、九州・沖縄の景況感を示すDIが全国を上回り、15四半期連続で好調を維持していることが明かされた。しかし鳥丸氏は、この数字の裏に隠されたカラクリを冷静に指摘する。
DIがプラス42と絶好調の沖縄県を除いて九州7県だけで算出すると、DIはプラス17となり、全国平均と全く同じ数値になるというのだ。「要は全国のプラス17と今の九州は一緒なんですよね」と、世の中の景気とほぼ同じ状況であるとの見解を示した。
ちなみに、沖縄が突出して好調な背景については、好調な観光業に加え、「大きい声では言えないのですが、防衛省関係のいろんな公共投資みたいなことですね」と、公には語られにくい要因も影響していることを示唆している。
好調業種3位に「ちょっとびっくり」
業種別の景況感に目を向けると、1位の人材派遣などの対事業所サービス、2位の宿泊飲食サービスは予想通りの結果であった。しかし、鳥丸氏は3番目に好調だった業種について「ちょっとびっくりします」と前置きし、それが「輸送用機械」、すなわち自動車産業であったことを明らかにした。
年間を通して関税問題などが懸念され、ハラハラドキドキが続いたにもかかわらず、製造業の中では断トツの景況感を維持した自動車業界。鳥丸氏は、東京本社の負担などもあったとしつつも、生産現場への悪影響がごく軽いものにとどまったことについて、よく頑張ったと現場の努力を称えるかたちとなった。
「過度の円安」が日本に食らわすパンチ
鳥丸氏が今回の短観で特に注目していたのが、企業の想定為替レートの変化であった。企業の見通しは1ドル148円へと円安方向に修正されたが、それでも実勢レートとの間には依然として7円もの乖離がある。
この状況に、氏は「今の過度の円安を放置したりすると、輸入だけではなく、対米直接投資でもパンチを食らうことになります」と強い言葉で警鐘を鳴らす。
今年7月に約束させられた5500億ドルの対米投資は、当時のレートで81兆円の予定だったものが、現在の円安によって85兆円に膨れ上がっているという。その差額は実に4兆円。成立したばかりの補正予算に計上された地方交付金2兆円の、実に2倍もの金額が円安によって余計に米国へ支払われる計算になると指摘し、「行き過ぎた円安を疎ましく感じる」と本音を吐露。
金融政策決定会合が、為替や株価に与える影響を注意深く見守るべき週末になると締めくくった。
※この記事はPodcast番組をもとにAIを用いて自動生成されたもので、誤った情報や不完全な記述を含む可能性があります。正確性や品質は保証されませんので、必要に応じて他の情報もあわせてご参照ください。