ミュージカル俳優・橋本薫子、夢を掴んだきっかけと発生の極意を語る

ミュージカル俳優やシンガー、作詞家として活動する橋本薫子氏が、ミュージカル専門ポッドキャスト「overture〜ミュージカル好きの語り部屋〜」にゲスト出演した。番組では、ミュージカルとの衝撃的な出会いから俳優を志した経緯、さらには自身の得意とする歌唱法「ベルティング発声」の具体的なテクニックに至るまで、熱く語る展開となった。

衝撃の出会いは『オペラ座の怪人』

橋本氏がミュージカルの世界に足を踏み入れるきっかけは、中学3年生の時に遡る。友人に誘われ、映画館で上映されていた『オペラ座の怪人』の25周年記念ロンドン公演を鑑賞した際、「すごい、なんだこれってすごいもう電撃が走ったような出会い」をしたと語った。

その衝撃は凄まじく、すぐに「これやってみたい！」という強い思いに駆られたという。その後、劇団四季の公演を観劇し、さらには本場の舞台を観るために家族とロンドンへ渡るほどの情熱を見せた。

一方で、初めて生で観劇した舞台は、意外にもミュージカル『テニスの王子様』（通称：テニミュ）であったことを告白。当時アニメや漫画が好きだったことから友人に誘われて観劇したそうで、『オペラ座の怪人』とは異なる魅力を持つ2.5次元ミュージカルの世界も楽しんでいたことを明かした。

サッカー部から俳優への道のり

驚くべきことに、中高時代はサッカー部に所属しており、歌や演技のレッスン経験は全くなかったという橋本氏。大学進学を機にミュージカルの道へ進むことを決意し、第一志望の大学ではなかったものの、そのサークルがインカレ（インターカレッジ）サークルであったことから、無事ミュージカルサークルへの入団を果たした。このサークルで観た『若草物語』の公演に深く感動し、入団を決めたそうだ。

サークル活動や、二十歳の時に参加したニューヨークのミュージカルプログラムでの経験が、プロの俳優を目指す大きな転機となった。舞台に立った時の感覚を、「もうずっとここにいられたら幸せだなってすごく思って、俳優になることを大学4年間で決めた」と振り返る。未経験からのスタートでありながら、強い意志と情熱で夢への道を切り拓いていったのである。

人生を変えたマイベストミュージカル

番組では、自身の「マイベストミュージカル」として『リトル・ウィメン（若草物語）』『Six』『ウィキッド』の3作品を挙げた。『リトル・ウィメン』はサークル入団のきっかけとなった作品であり、夢を追う主人公ジョーの姿に自身を重ねたという。

また、歴史上の人物がポップスターとして現代に蘇る『Six』には、その斬新なコンセプトと「私たちのペンとマイクで歴史を書き換えていこう」というメッセージに感銘を受けた。そして『ウィキッド』は、女性が力強くナンバーを歌い上げる姿に衝撃を受け、自らチケットを買って初めて観に行った思い出深い作品であると語っている。

ベルティング発声の極意を激白

番組のハイライトとなったのが、ホストからの歌唱相談に答えた場面だ。橋本氏は自身のパワフルな歌声の秘訣である「ベルティング発声」について、具体的な練習法を交えて詳細に解説した。

ベルティングの要として「声帯を閉じて喉は開いて、軟口蓋は広くするっていうのをめちゃくちゃ言われますね」と専門的なポイントを提示。

さらに、声の当てどころを「頭蓋骨と背骨の間」に意識し、「後ろを経由して前に行くイメージ」で発声することや、舌先を下の歯の裏につけて歌うことで響きが格段に良くなるという実践的なアドバイスも送った。

自身がレッスンで行っているという、ハンドサインを使いながら声帯の開閉を視覚化するトレーニングも紹介。「この当てどころを自分の中でしっかり掴むことができたら、もう勝ちだと私は思ってて」と力強く断言し、その確固たる理論と経験に裏打ちされた解説は、多くのミュージカルファンや歌い手にとって貴重な金言となったに違いない。