起業家が語る壮絶な過去と「スモビジおじさん」の現在

ポッドキャスト番組「弱音会議 - あまり強い言葉を遣うなよ -」に起業家の加藤卓也氏がゲスト出演。かつて20億円以上を調達したベンチャー企業の創業者が自身の壮絶な過去から現在の自由な生き方までを赤裸々に語り、話題となっている。8年間の会社経営の末にエグジット（事業売却）を経験した彼が、今何を思うのか。そのリアルな言葉が注目を集めている。

8年間の経営と「もっと早く溶かせばよかった」後悔

加藤氏は、かつて自身が立ち上げたVR事業の会社を8年間にわたり経営していた過去を振り返る。しかし、その結末については「後悔があるとしたら、もっと素早く溶かしたかったなみたいな」と意外な本音を吐露した。

8年という歳月をかけたものの、「5年ぐらいでよかったなと思ってて」と、もっと早く会社を畳むべきだったと語った。出資者への配慮から決断が遅れたというが、結果的に会社を小規模に延命させようとした時間は無駄だったと断じている。多くの経営者が抱くであろう執着を捨て、素早く見切りをつけることの重要性を示唆したのである。

「VRは来ない」と悟った絶頂期の苦悩と現在の解放感

経営者として精神的に最も辛かった時期は、意外にも会社が外部から最も順調に見えていた頃だったと明かした。「2020年ぐらいに、VR来ねえなって気づいちゃった時が一番辛かったっすね」と告白。

周囲からは「一番調子良さそうだったし、社員が一番楽しそうに働いてた時」に見えていたが、その裏で彼は会社の未来に対する絶望感を抱えていたのだ。しかし、今年3月に会社をエグジットしてからは状況が一変。

「やばい、楽しい。本当に」と心からの喜びを表現し、「今はもう本当にあの、ただのオーナー企業でスモビジおじさんなわけですよ、みんなから見たら。めちゃくちゃ楽しい」と現在の自由な立場を満喫しているという。

悩める社長を救う「リビングデッド精算君」誕生秘話

現在の活動として、彼は「リビングデッド精算君」というユニークなサービスを始めたことを報告した。これは、経営が行き詰まり「リビングデッド」状態になってしまった社長の悩みを聞き、株主との交渉やM&Aなどを手伝う揉め事専門の仲介サービスである。

驚くべきことに、このサービスが思いつきで始めた事業の中で「言うて一番売上出て」いるという事実。彼のサービス作りの根底には特異な哲学が存在する。「社会で良くないなと俺が個人的に思う人に退場していただく」という思想を語り、低評価の運転手と客をマッチングさせるというUberの都市伝説に深く感銘を受けたと話した。

「法で裁けないやつを殴ってるみたいな。そういうのが好き」と、そのダークヒーローのような一面を覗かせている。

「目パキリ散らかす時代は過ぎた」起業家への提言

自身の経験から、現代の起業家たちへ向けた提言も行った。「エクイティファイナンスをして、去年より売上が2倍になってなかったらやめればいい」と、まるでM-1グランプリのような「卒業ルール」の必要性を力説する。

また、「やりたい事業」と「お金を稼ぐための事業」は明確に分けるべきだとアドバイスし、その両立は一部の天才にしかできないと断言した。かつてのベンチャー業界にあった「目バキバキの、事業に関係ないことを1ミリでもやってるやつは死ねみたいな雰囲気」は過去のものになったと指摘。

「目パキリ散らかす時代はもう過ぎました」「時代が変わっただけ」と述べ、無理に成長を追い求めるのではなく、長くご機嫌に事業を続けることの重要性を説いた。

さらに番外編では、最近の失敗談としてホストクラブに応募し「全部落ちました」と衝撃の告白。

面接では「なめてんのかあ、おめえはあみたいな」と怒られたことまで明かし、スタジオの笑いを誘った。こうした失敗談さえも武器に変え、彼は「成功って運なんだ」と達観した境地に至ったと締めくくる。

苦しんでいる経営者に向けて「みんなで仲良く幸せになろう」「全然何かお茶しよう、本当に」と温かいメッセージを送る姿は、多くのリスナーに勇気を与えたに違いない。