立花孝志氏起訴の背景、専門家がSNSの危険性を解説

2025年12月5日

政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首が、亡くなった元兵庫県議を中傷したとして名誉毀損の罪で起訴された。死者に対する名誉毀損での起訴は極めて異例であり、この事件の背景に横たわるSNS時代の問題点について、毎日新聞出版社長の山本修司氏がラジオ番組で解説を行った。

「極めて異例」死者への名誉毀損での起訴

事件の発端は、兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑を追及していた元県議が、匿名のSNS投稿による批判の末に議員辞職し、その後自ら命を絶ったことにある。

立花被告は昨年12月の街頭演説で、この元県議について「何も言わずに去ってた議員はめっちゃやばいね。警察の取り調べを受けているのは多分間違いない」などと発言。

さらに元県議の死後も「昨年9月頃から兵庫県警からの継続的な任意取り調べを受けていました」「明日逮捕される予定だったそうです」といった虚偽の情報をSNSで発信していた。

これらの言動が元県議の名誉を傷つけたと認定され、逮捕・起소に至ったのである。最高裁の記録が残る1978年以降、死者に対する名誉毀損で刑事裁判が開かれた例はなく、今回の起訴がいかに異例であるかがうかがえる。

生者と死者で異なる名誉毀損のハードル

山本氏は、名誉毀損を定めた刑法230条について詳しく解説した。

生きている人に対しては、発信内容が事実かどうかにかかわらず、相手の社会的評価を傷つけたと判断されれば罪が成立する。一方、死者に対しては「虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ罰しない」と定められており、成立のハードルが高くなっている。

これは、歴史上の人物を研究や著作で批判した場合、その末裔が告訴するといった事態を防ぎ、自由な言論を確保するための規定だと山本氏は語る。

今回の裁判では、立花被告の発言が虚偽であったか、また本人に虚偽であるとの認識があったかが最大の争点となる。

兵庫県警が元県議への聴取や逮捕予定を明確に否定していることから、立花被告側が真実相当性を証明するのは困難だと見られている。

名誉毀損裁判の変遷とSNS時代の到来

かつて名誉毀損裁判は、週刊誌報道を巡るものが大半であった。山本氏は、1990年代には損害賠償額が100万円程度と低額だったものが、次第に見直され高額化していった歴史を振り返った。

特に2001年、プロ野球の清原和博選手(当時)が週刊誌記事を訴え、1000万円の賠償が認められた判決は大きな転換点になったという。こうした流れを受け、既存メディアは名誉毀損に対して慎重な姿勢を強めてきた。

しかし、誰もが発信者となれるSNS全盛の時代を迎え、状況は一変。山本氏は「メディアも昨今オールドメディアなんて言われるようなものになって」「一方でその誰もが発信できるSNS全盛の時代に入ってですね、発言者個人が名誉毀損に問われるような時代に入ってきたと。これを象徴する事件ではないか」と指摘し、個人が名誉毀損の当事者となるリスクが高まっている現状に警鐘を鳴らした。

問われるSNS時代の情報リテラシー

山本氏は、スマートニュース社が行った興味深い調査結果を紹介。それによると、立花被告がSNSで真偽不明の情報を大量に拡散した兵庫県において、他の都道府県とは異なり、いわゆる陰謀論を信じる度合いが全国平均を大きく下回っていたという。

この結果について専門家は、出直し知事選の結果に幻滅した人々が、SNS情報を鵜呑みにせず、自ら判断するようになった可能性を示唆していると分析する。メディアが多くの失敗から学んできたように、SNSの利用者も様々な経験を経て、情報の真偽を見極める力を身につけていくことが期待される。

山本氏は「情報の真偽っていうのはしっかりと見極めていく力が必要で、最近リテラシーっていう言い方をしますけども、これを高めていくことが何よりも必要なんだと」と強調。今回の異例の起訴は、SNSで情報を発信・拡散するすべての人々に対し、その責任の重さと情報リテラシーの重要性を突きつける教訓となった。

※この記事はPodcast番組をもとにAIを用いて自動生成されたもので、誤った情報や不完全な記述を含む可能性があります。正確性や品質は保証されませんので、必要に応じて他の情報もあわせてご参照ください。