放送作家ミラッキ、Eeveeの新曲に自身の25年を重ねる

放送作家のミラッキが、自身のPodcast番組「ミラッキの帰り道ラジオ」にて、心に響いた新曲について熱く語った。この日の収録は、小説家の燃え殻が週刊新潮で連載中のコラムで自身について触れた『ミラッキという男』という記事が掲載された雑誌を買いに行った帰り道に行われたという。ミラッキは、そこで出会った楽曲に自身のキャリアと人生を重ね合わせ、深い共感を寄せた。

Eeveeの新曲『BAKA』に深く共鳴

ミラッキがまず取り上げたのは、瀧澤彩夏名義でも活動してきた女性ラッパー、Eeveeがリリースした新曲『BAKA』であった。春に発表された『FLICKA』が超絶的なフロウで魅せる楽曲だったのに対し、今作は「とにかく詞がいい」と絶賛。その歌詞の世界観を「開き直りとも違う、本当の等身大ってこういうことだよなという詞が、45歳の男性に響いた」と評している。

その共感の背景には、ミラッキ自身の25年に及ぶ放送作家としてのキャリアがあった。彼は、会社の平均寿命が30年と言われる中で、一つの仕事を続けるにはモデルチェンジが必要だと分析。

しかし、自身のいるラジオ業界については、「インターネットがこれだけ発達して、ラジオっていうメディアの存在感がなくなっているのに、盛り上がってるみたいなふりをされている」と複雑な胸中を吐露。

出演者やスタッフの待遇が改善されない厳しい現実がありながらも、「良くないんだなんて言ったら余計良くなくなるんだから、余計なこと言うなみたいな空気もある」という業界の閉塞感を明かした。そうした葛藤を抱える自身の状況が、Eeveeの楽曲と強くリンクしたと語る。

「まだやれてる」歌詞に奮い立つ

『BAKA』の歌詞は、ミラッキの心を強く揺さぶったようだ。特に冒頭のフレーズに触れ、「『まだやってる』って言われるけど、『まだやれてるんだ自分は』っていうとこの宣言が最初に入るんですけど、お見事ですね」と感嘆。「『まだやってんの？』って呆れる顔で言われるけど、そうじゃないぞと。本当にその通りだと思う」と、自身の境遇と重ねて深く頷いた。

さらに、続く「こっから見せてく My Dream 何も言わせない だからペンとマイクを握るの」という一節を引用し、「自分もペンとマイクを握る、そのつもりでやろうと」と、年齢やキャリアに関係なく創作への決意を新たにしたという。

また、「今はもう知った現実さえ 未だ追う私は馬鹿で」という歌詞には、「自分だって現実っていうのは見えてるんだけど、じゃあ違う世界行ったらいいじゃんって周りの人は言うかもしれないけども、とどまり続けて、もがき続けてやってる。それって馬鹿だよな」と、痛いほど共感する自身の姿を重ね合わせた。葛藤しながらも前進しようとするEeveeの決意を「すごいかっこいい曲」と称賛している。

カジヒデキが描く新時代のXmas

続いてミラッキは、カジヒデキの新曲『みんなでサンタにキスをした！』を紹介した。

山下達郎の『クリスマス・イブ』や松任谷由実の『恋人がサンタクロース』が日本の「カタカナクリスマス」を形成したという独自の音楽史を披露し、カジヒデキの楽曲はその現代版であると分析。

『ママがサンタにキスをした』という古典に対し、『みんなでサンタにキスをした』というタイトルに「そういう時代」と現代性を見出した。この曲が、自身が手掛けるラジオドラマ「新時代のサンタクロース」のテーマともシンクロすると感じたという。

Eeveeの曲が年末に決意を新たにする曲なら、カジヒデキの曲は新しい時代のクリスマスを描いていると、それぞれの楽曲が持つ意味を深く読み解いていた。