音楽通が注目、つきみと降幡愛の新曲を徹底解説

音楽好きのパーソナリティが独自の切り口で新曲を解説するPodcast「ミラッキの帰り道ラジオ」。その最新回で、今注目すべき2組のアーティストの新譜が熱く語られた。取り上げられたのは、女性3ピースバンド「つきみ」と、声優としても第一線で活躍する降幡愛。両者の楽曲が持つ奥深い魅力を徹底的に掘り下げた。

ポップな曲調に潜むヘビーな純愛

まず番組が「出会っちゃいましたね、ポップなナンバー」と切り出したのは、ひらがな表記のバンド「つきみ」が12月10日にリリースした楽曲「べいびーぶれいかー」だ。パーソナリティは、この曲を「超ポップ」「軽快なロックナンバー」と表現し、そのキャッチーなメロディーを高く評価。しかし、その魅力は単なる聴き心地の良さだけにとどまらない。

歌詞に耳を傾けると、その印象は一変する。「浮気するくらいならぶっ殺して」という、一度聴いたら忘れられない強烈なフレーズがリスナーを驚かせた。

この過激な言葉の背景には、倦怠期を迎えた若いカップルの姿が描かれている。男性への愛情が深いあまり、嫉妬と不安に苛まれる女性の心情が、このパンチラインを生み出したのだと分析。まさに「惚れたが負け」という言葉がぴったりな、恋愛における痛々しいまでの純粋さを描き切った。

さらに、この曲の巧みさはその構成にあると指摘。曲の終盤にかけてテンポがスローダウンし、激情の裏に隠された「元に戻りたい」という主人公の切ない本音が吐露される展開は「見事な演出」だと絶賛された。ポップな曲調とヘビーな歌詞、そしてその奥に潜む弱さという多層的な構造が、この楽曲に深い奥行きを与えているのである。

声優・降幡愛が拓く新たな音楽的地平

続いて話題は、声優・降幡愛が12月5日にリリースしたEP『COLD MOON』へ。これまで80年代後半のシティポップサウンドを追求してきた彼女だが、今回の作品で新たな一面を見せている。

表題曲「COLD MOON」について、パーソナリティは「アレンジはシティポップ、メロディーはもはやなんか歌謡曲の世界」と語り、そこに七五調を思わせる日本的な歌詞が乗ることで生まれる「バランス感覚が面白い」と、その独創的な試みを評価した。

さらに驚きは2曲目の「Swingin' in the TOKYO」。こちらは一転してきらびやかなパーティーチューンとなっており、90年代後半のSPEEDやDA PUMPを彷彿とさせるサウンドが特徴だ。

この大胆な振り幅に、パーソナリティは「このEPの表す範囲、守備範囲っていうのがとても広いんだなと」と感嘆の声を漏らす。

また、曲ごとに歌声の表現を巧みに使い分ける技術を「声優としてのスキルが見事に歌手でも生かされている」と分析。キャラクターソングで多くのファンを魅了した彼女の歌声が、ソロアーティストとしての表現にも深みをもたらしていると語った。

番組の終盤では、降幡愛の楽曲から音楽ユニット・HiiT FACTORYを連想したとコメント。「Swingin' in the TOKYO」とHiiT FACTORYの楽曲の間にサウンドの親和性を見出し、「仲間がお互いいたぞ」と感じるはずだと熱弁。

両アーティストのファンが互いの音楽を行き来することで、新たな発見があるのではないかと提案し、音楽の楽しみ方の広がりを示して締めくくっていた。