七隈線20周年、循環線化と空港延伸構想の行方
エコノミストの鳥丸聡氏がラジオ番組に出演し、開業20周年を迎えた福岡市地下鉄七隈線の現状と未来について解説した。2005年2月の開業から大きな節目を迎えた七隈線は、今や朝のラッシュ時に混雑率130%を記録するほどの主要路線へと成長。その裏で、総事業費2600億円を超える壮大な延伸構想が浮上していることが明かされた。
福岡一極集中を象徴する歴史
福岡市地下鉄の歴史は、1975年の着工に遡る。鳥丸氏はこの年が、山陽新幹線が「ひかりは西へ」のキャッチコピーと共に博多まで延伸し、同時に福岡市の人口が初めて100万人を突破した「なかなかの肝」であると指摘。路面電車に代わる渋滞緩和策として整備が進められた地下鉄は、福岡市の発展と歩調を合わせてきた。
それから30年後の2005年に開業した七隈線は、まさに「地下鉄は西へ」を体現する存在であった。しかし、この年は九州7県の人口が初めて減少し、北九州市の人口が100万人を割るなど、地方の人口減少が顕著になった年でもある。
その一方で福岡市は人口140万人を突破しており、鳥丸氏は「福岡市の地下鉄の歴史っていうのは、まさに九州における福岡一極集中の歴史を象徴するインフラ整備の1つ」と分析した。
博多駅延伸で利用客は倍増
華々しい歴史とは裏腹に、七隈線の船出は順風満帆ではなかった。開業当初、1日11万人の利用を見込んでいたものの、最初の5年間はその半分以下にとどまり、大きくつまずくこととなった。風向きが変わったのは2010年代。沿線人口の増加に加え、2023年3月の天神南駅から博多駅までの延伸開業が起爆剤となったのだ。
この延伸により、利用客数はコロナ前の2019年度の1日平均8万人から、現在では倍の16万人にまで急増。朝のラッシュ時の混雑率は130%に達し、「なんとかしてくださいよって言われるぐらいにまでなった」と鳥丸氏はその盛況ぶりを語る。この混雑が、新たな対策を検討させるきっかけとなっている。
総事業費2600億円超の未来図
現在、福岡市では混雑緩和策として2つの大きな構想が検討されている。1つは、現在の4両編成を空港線と同じ6両編成に増やす案だ。これにより輸送力は5割増強されるが、車両購入費やホーム延伸などの施設改修費に約250億円もの費用がかかる見込みである。
さらに、2つの壮大な延伸案も浮上。1つは博多駅から福岡空港国際線ターミナルまでの約3.5kmの延伸だ。実現すれば空港アクセスは格段に向上するが、事業費は概算で1400億円にも上る。
もう1つは、七隈線の終点・橋本駅と空港線の終点・姪浜駅を約3kmで結び、路線を「循環化」させる構想。これにより福岡都市高速のように市内を周回できるようになるが、こちらの事業費も約1200億円と試算される。
鳥丸氏は1400億円という金額について、膠着状態にある西九州新幹線の佐賀県負担額とほぼ同額であることに触れ、「あれと同じコストのがさらりとこう福岡だと出てくるっていうところがですね、これやっぱすごいな」と、その規模に驚きを見せた。
人口減少と熊本の台頭という課題
しかし、この派手な未来図には課題も少なくない。鳥丸氏が最大のネックとして挙げるのが、福岡市の将来人口だ。市の推計によれば、総人口は2040年頃にピークを迎えた後、減少に転じる見通しとなっている。さらに、地下鉄利用の主体である生産年齢人口に至っては、わずか5年後の2030年にピークアウトすると予測されているのだ。
加えて、九州他県からの人口流入の勢いにも陰りが見え始めているほか、TSMCの進出で熊本都市圏が新たな人口の受け皿として台頭。もはや福岡一極集中という従来の構図は通用しなくなりつつある。
鳥丸氏は、インフラ整備を福岡都市圏だけで考えるのではなく、「九州全体のこう未来図の中でこう考えなきゃいけない時代を迎えてるんじゃないかな」と提言し、広域的な視点の重要性を訴えて締めくくった。
※この記事はPodcast番組をもとにAIを用いて自動生成されたもので、誤った情報や不完全な記述を含む可能性があります。正確性や品質は保証されませんので、必要に応じて他の情報もあわせてご参照ください。