元村由紀子氏、佐賀関の大規模火災の背景を解説

2025年11月27日

毎日新聞客員編集委員の元村由紀子氏がラジオ番組に出演し、大分市佐賀関で発生した大規模火災について、その背景と今後の対策を詳しく解説した。今回の火災は焼失面積5万平方メートル、170棟が焼ける甚大な被害となり、2016年に新潟県で発生した糸魚川市大規模火災を上回る規模となった。

延焼を招いた3つの「悪条件」

なぜこれほどまで被害が拡大したのか。元村氏は、複数の悪条件が重なった結果だと指摘する。まず挙げられたのは、家屋の状況と地形の問題である。現場は「木造住宅が密集していた」地域で、さらに「道が幅1メートルぐらいしかなくて、消防車両が入りづらい、入れない」という状況であった。

消防隊員は25メートルのホースを何本も繋いで消火にあたる人海戦術を強いられたが、焼け落ちた瓦礫でホースに穴が開くなど、消火活動は困難を極めたと語る。加えて、防火水槽がわずか3時間で空になり、海から水を汲み上げる事態になったことも明かされた。

強風も延焼を加速させた一因だ。「折からの季節風というか北西の風に乗って、火の粉が舞い上がって」と元村氏が語るように、火は次々と燃え移り、海の先の無人島にまで達したという。

そしてもう一つ、元村氏が見逃せない点として挙げたのが、地域の社会構造の変化である。現場となった地区は「高齢化率が7割」に達し、人口減少によって空き家が著しく増加していた。空き家は地区全体の16%を占め、およそ6軒に1軒が空き家という現状。このため、火災発生時に最も重要となる初期消火の担い手が不足し、対応が遅れた可能性を示唆している。

絶望の中に見えた「地域の絆」

このような絶望的な状況下であったが、元村氏は「不幸中の幸い」として、地域に根付く絆の強さにも言及。多くの高齢者が暮らす中、住民たちは「一人暮らしのお年寄りもたくさんいるんですけれども、玄関のドアを叩いて『火事だ逃げろ』ってみんなで励まし合いながら避難した」という。

また、自力で歩けない高齢者を、近くの事業所のケアマネージャーが介護車両で何度もピストン輸送して助けたエピソードも紹介された。こうした地域住民の助け合いの結果、犠牲者が1名に留まったことについて、元村氏は「それは本当に、辛い中での唯一の救いかなという気もします」と述べた。

京都に学ぶ「燃えにくい町」作り

このような火災は佐賀関に限った話ではない。元村氏は、全国の木造密集地域が同様のリスクを抱えているとし、他地域の対策事例を紹介した。糸魚川市では、復興の過程で道路を拡幅して防火帯の機能を持たせ、東京の下町では住宅の不燃化に補助金を出すなど、行政主導のハード面の対策が進められている。

さらに、元村氏自身が住む京都のユニークな取り組みを解説。京都の町家が並ぶ地域では「いわゆる玄関の外に赤いバケツが点々と置いてあるんですよ」と語り、住民が毎朝そのバケツに水を満たしているという。

これは「火を見たら通りがかりの人が初期消火できるような仕組み」であり、江戸時代から続く火事への強い連帯意識の表れだと説明する。こうした住民の意識の高さに加え、大学生を消防団員に迎えるなど、地域ぐるみで防災に取り組む京都の姿勢は、他の地域にとっても大きなヒントとなるだろう。

元村氏は、行政によるハード面の整備と、住民によるソフト面の対策の両輪で「燃えにくい町を育てていく」ことの重要性を強く訴えかけた。

※この記事はPodcast番組をもとにAIを用いて自動生成されたもので、誤った情報や不完全な記述を含む可能性があります。正確性や品質は保証されませんので、必要に応じて他の情報もあわせてご参照ください。