ジャーナリスト元村氏が警鐘、インフルエンザ猛威と5つの特徴

猛威を振るうインフルエンザについて、毎日新聞客員編集委員の元村有希子氏がラジオ番組に出演し、その背景と対策について詳しく解説した。福岡県ではすでにインフルエンザ警報が発表されるなど、例年より早く流行が本格化している。その裏には、新たな変異株の存在があるという。

今年の流行に見られる3つの特徴

元村氏は、今年のインフルエンザ流行には3つの特徴があると指摘している。第一に、流行の開始時期が非常に早い点だ。「例年よりも警報レベルになるのが1ヶ月以上早い」とのことで、これは流行期間が長引く可能性を示唆する。

第二に、若年層での感染拡大が目立つことだ。「18歳未満の子供と、それから18歳から24歳の若年成人」のカテゴリーで感染が広がっており、全国で学級閉鎖の報告も相次いでいるという。

そして第三の特徴が、流行株がワクチンのために準備された型から少しずれているという点。これが、現在流行の主因となっている変異株の存在を物語る。

猛威の正体「サブクレードK」

元村氏は、現在の流行の背景には「サブクレードK」と呼ばれる変異株があると明らかにした。国が9月から11月に行った調査では、海外からの流入ケースのうち74%がこの株であり、現在、日本国内で検出されるウイルスの90%以上を占めるに至った。

この変異株の厄介な点について、元村氏は「従来私たちが備えている免疫からの逃避能力が高い」と説明する。つまり、過去の感染やワクチンで得た抗体をすり抜けてしまう能力を持っているのだ。

また、今年のインフルエンザの症状は、従来イメージされる「関節が痛い」といった症状があまり見られないのが特徴である。「急な発熱、鼻水、咳の3大症状」が中心のため、風邪と勘違いしやすく、知らずに感染を広げてしまう危険性があるとして注意喚起を行った。

インフルエンザにかかりやすい人の「5つの特徴」

多くの人が抱く「インフルエンザにかかりやすい人とかかりにくい人がいるのはなぜか」という疑問。この問いに対し、弘前大学、京都大学、大正製薬の共同研究チームが、AIを用いて1000人規模の健康調査ビッグデータを分析し、かかりやすい人の特徴を導き出したという。元村氏が解説した、データによって裏付けられた5つの特徴は以下の通りだ。

1つ目は「血糖値が高め」な人。血糖値が高い状態は免疫細胞の働きを鈍らせ、ウイルスへの抵抗力を弱めてしまう。 2つ目は「肺炎を過去に経験したことがある」人。これは、元々感染症への抵抗力が弱いタイプと考えられるためだという。 3つ目は「多忙と睡眠不足」。生活習慣の乱れは免疫力低下に直結する。 4.つ目は「栄養不良」。食事の偏りやビタミン不足も体のバリア機能を損なう要因となる。 5つ目は「アレルギー体質」の人。花粉症や慢性鼻炎などを持つ人は呼吸器のバリア機能が落ちがちで、ウイルスが付着しやすくなる。

この結果に、元村氏は「あまり意外な結果じゃなかった」としつつ、「つまり私たちが日頃から備えられるっていうことですよね」と、対策の重要性を結論付けている。これらの特徴に思い当たる節がある人は、特に注意が必要だろう。

日頃から「手洗い、うがい、マスク」といった基本的な感染対策を徹底し、栄養のある食事と十分な睡眠を心がけることが、この冬を元気に乗り切る鍵となりそうだ。