飯田泰之氏、解体業の倒産急増に潜む構造問題を解説
ラジオ番組「田畑竜介Grooooow Up」に明治大学教授でエコノミストの飯田泰之氏が出演。全国的な再開発ラッシュの裏で、解体工事業の倒産が過去最多ペースで急増している問題を取り上げ、その根深い構造について鋭く切り込んだ。
需要旺盛なのに…深刻化する人手不足
番組ではまず、現在の土木建設業界が「空前の人手不足状態」にあり、旺盛な需要とは裏腹に中小零細企業が人員確保に追いついていないという皮肉な実態が紹介された。飯田氏は、この問題の根源が2000年代の政策にあると指摘。
「公共工事イコール悪、ということで。そういった形でずーっとその土木建設業を、端的に言えばいじめてきたんですね」と語り、長期にわたる業界への逆風が今日の危機を招いたと分析する。その結果、業界は新規採用を極端に手控え、当時の中核を担っていた技術者たちの高齢化が著しく進行した。
飯田氏は「2000年代、例えば40代の方、今60代でありまして」と具体的な時の流れを示し、世代交代が完全に失敗した窮状を説明。本来ならば若手を指導するはずの中堅層が育っておらず、「将来の幹部の育成なんてできるはずもない」状況だったと振り返った。いざ再開発やインフラ老朽化対策が急務となった今、「しまった、中堅どころいないわ、っていう状態」に陥っていると、業界が直面する人材の断絶を浮き彫りにした。
給与上昇を阻む「職業威信」という壁
人手不足を解消する鍵は賃金上昇にあるが、飯田氏は日本の労働市場には給与が上がりにくい特有の壁が存在すると論を進めた。対比としてアメリカの事例を挙げ、需要の高い現場作業員が高収入を得る「ブルーカラーミリオネア」という言葉を紹介。需要と供給に応じて給与が柔軟に決まる米国市場のダイナミズムを提示した。
一方で、日本では「職業威信」という社会的な意識が大きな障壁になっていると指摘する。「職業に貴賤はない」という建前とは裏腹に、人々が無意識に抱く「偉い職業」という序列意識が根強く存在するという。
飯田氏は、「管理職より現場職の方が給料高いってのはいかがなものか」という日本特有の感覚が、労働市場の需給バランスを歪めていると解説した。まさに今、成長産業となりつつある土木建設業で働く人材の給料が上がりにくいのは、この固定的価値観が一因である。AIやDX化によって事務・管理系の仕事の重要性が相対的に変化しているにもかかわらず、意識の変革が追いついていないのが実情だ。
社会全体での意識改革が不可欠
この根深い問題に対し、飯田氏は一企業の努力だけでは解決できないと断言している。仮に一社が給与体系の大胆な見直しを図ろうとしても、年功序列の恩恵を期待してきた従業員から「いやいや俺はずっと給料安いけど我慢してきたじゃないか」といった反発が起こりかねず、改革は頓挫しやすい。
そのため、もはや企業単位ではなく、社会全体で価値観をアップデートしていく必要があると強調した。これは解体工事業界に限らず、コロナ禍でその重要性が再認識されたエッセンシャルワーカー全般に通底する課題であるとの見解も示された。
飯田氏は最後に、「指揮をする、また命令をする、指令をする立場だから給料が高いはずだっていう思い込みを少しほぐしていかないと、一番必要とされてるのに給料が上がらない」と力強く提言。日本の産業構造が大きな転換期を迎える今こそ、労働そのものに対する価値観を根本から見直す必要性を訴え、重要な一石を投じる形となった。
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