飯田泰之氏、最低賃金改定の現行制度に物申す

2025年12月2日

エコノミストで明治大学教授の飯田泰之氏が、ラジオ番組の経済コーナーに出演。2023年10月から順次適用が始まった最低賃金改定について、その課題と今後の展望を語った。全国加重平均で初めて1000円を超え、歴史的な引き上げとなった今回の改定だが、飯田氏はその運用スケジュールに潜む問題点を指摘している。

導入時期の遅れが示す課題

番組では、まず全都道府県で1000円を超えた最低賃金が、実際には10月1日に一斉スタートしたわけではない現状が取り上げられた。沖縄県では12月1日から、福島県など一部では翌年1月1日からの適用となる。

この時期のズレについて飯田氏は、「今回引き上げ幅が非常に大幅だったので、この賃上げ、急な賃上げに耐えられない中小零細事業主に向けての各県の助成制度であったり、または賃上げをする際の、例えば事務的な作業であったり、こういった補助をつけていたため、ちょっと中々10月1日に間に合わなかったという理由があるんですね」と解説。

急激な人件費増に対応するための準備に時間がかかっている実態が、この導入時期の遅れに表れていると分析した。

最低賃金の目的、時代と共に変化

飯田氏は、そもそも最低賃金制度が持つ意味合いが時代と共に変化してきたと指摘する。2000年代半ばまでは、生活保障よりも不当な労働契約を防ぐ意味合いが強かったという。「昔で言うと、つまり技術を教えてやるんだから時給は100円でいいだろうとかっていう、そういう不当な雇い方を防ぐという意味が強くてですね、その最低賃金を引き上げて所得を増やそう云々っていう発想がほとんどなかったんですね」と、過去の制度の役割を振り返った。

しかし、2010年代以降、政府が賃上げを大きな目標として掲げるようになると、最低賃金は所得向上のための重要な政策ツールへとその姿を変えていったのである。

改定スケジュール見直しを強く提言

企業経営に直接的な影響を及ぼす水準まで上がってきた今、飯田氏は現行の改定スケジュールに疑問を呈した。「ちょっと最低賃金、春に決めて10月導入、初夏ですね。初夏に決めて10月導入は、ちょっと厳しくないですかと」と苦言を呈し、企業側が対応する時間的猶予の必要性を訴えた。

賃金上昇に対応するためには、無人レジの導入といった設備投資や、場合によっては人員整理など、経営上の大きな判断が求められる。しかし、現状の短い準備期間ではそれもままならない。

「企業側としてもやはり最低賃金が上がったので、これまで全部人力でやってたのを機械で頼もうとか、場合によっては人員を整理しようっていう準備ができないんですよね」と語り、具体的な代替案として、夏に決定した後、施行を「翌年4月1日」や「翌年1月1日」にするといった、企業が事業計画を立てやすいタイミングへの変更を提言した。

経済活性化への期待も口に

一方で飯田氏は、賃上げがもたらす経済の好循環への期待も口にしている。人件費の上昇がサービス価格への転嫁につながりにくい日本の現状に触れつつも、本来あるべき経済の姿を解説。「給料が上がる、給料が上がると利益を確保するために価格を上げる。価格を上げると、働く側が、給料上げてくれないと実質的に賃下げになっちゃいますから、給料も上げてくれ」というサイクル、いわゆる「コンフリクトインフレーション」が長く日本には欠けていたと指摘。

その上で、「賃上げする、値段を上げる、値段が上がったから賃上げするっていうサイクルも、やはり日本経済のダイナミズムの中に一部やっぱり取り込んでいかなければなりませんし、近年ですと最低賃金がその一助になってると思います」と締めくくり、課題はありつつも、最低賃金引き上げが日本経済を活性化させる起爆剤となり得ることへの期待感を示した。

※この記事はPodcast番組をもとにAIを用いて自動生成されたもので、誤った情報や不完全な記述を含む可能性があります。正確性や品質は保証されませんので、必要に応じて他の情報もあわせてご参照ください。