飯田泰之氏、GDP下方修正の背景を解説「日本の2つの課題」

2025年12月9日

エコノミストで明治大学教授の飯田泰之氏が、ラジオ番組の経済コーナーに出演。内閣府が発表した今年7月から9月期のGDP(国内総生産)改定値が、年率換算でマイナス2.3%へと下方修正されたことについて、その背景を詳しく分析した。速報値からさらに悪化した数字が示す日本経済の現状に、専門家ならではの鋭い視点で切り込んでいる。

GDP下方修正、原因は投資の不振

番組では、まずGDP改定値が速報値よりも悪化した理由について飯田氏が解説。GDP統計は様々な基礎データを組み合わせて作られるため、情報が揃うにつれて数値が改定される。飯田氏は「今回、下方修正されたというのは、1次速報から2次速報にかけて、ちゃんとデータを取ってみたら思ったよりも民間の投資が小さいということがわかったんですね」と指摘した。

具体的には、民間の設備投資と、国や自治体が行う公共事業という、民間と公的な投資の両方が当初の見込みを大幅に下回っていたことが判明。この二つの投資の不振が、GDPを押し下げる大きな要因となった。特に民間投資については、日本企業が抱える根深い問題が影響していると飯田氏は分析する。

日本企業のDX化を阻む「ハンコの壁」

民間投資の中でも、特に振るわなかったのがソフトウェアへの投資だという。日本企業は人手不足が叫ばれながらも、業務効率化につながるDX(デジタルトランスフォーメーション)がなかなか進んでいない。

飯田氏はこの奇妙な現状について、「今まで通りの仕事のやり方を変えたくない、または、全く今まで通りのこの順番で稟議を上げて、この順番でハンコをもらって、この形式の書類を作る、といったずっとやってきたことを、変えないでソフトウェア化したいってなると、そんな便利なソフトなかなか無いんですよ」と、日本型組織特有の課題を語った。

成功するDXの多くは、優れたソフトウェアに合わせて社内の業務プロセスを変えることで実現する。しかし、多くの日本企業では既存のやり方に固執するあまり、その変革が進まないのが実態のようだ。

飯田氏は象徴的な例としてハンコ文化を挙げ、「聞いてみると『いや、三文判でいいです』って言われて、『じゃあ要らなくないか、このハンコ』っていう」と、形骸化した慣習がDX化を阻んでいる実情を皮肉たっぷりに解説。この根深い問題が、ソフトウェア投資の停滞という形で経済指標に表れていると結論づけた。

公共事業も停滞、深刻化する人手不足

下方修正のもう一つの原因である公共事業の遅れについては、まったく別の問題が横たわっている。それは、建設業界などを中心とした極端な人手不足だ。国がインフラ整備などのために予算を確保しても、現場で工事を担う人材が不足しているため、計画通りに進まないケースが多発している。

飯田氏は「予算積んだとしても、なかなかやってそれを実行できるだけのマンパワー集められないので、進捗が遅くなるというのが如実に現れてきている」と現状を説明。計画段階では大きな事業が見込まれていても、いざ実行段階になると人手不足という壁にぶつかり、結果として公共投資が伸び悩むという構図が明らかになった。

最後に飯田氏は、今回のGDP下方修正は「なかなか進まないDX化の問題、プラス、一部の業界での極端な人手不足、この日本経済の2つの課題を反映した修正になっている」と総括。目前に迫る金融政策決定会合での金利引き上げの可能性にも触れ、ただでさえ冷え込んでいる投資マインドにさらなる打撃を与えかねないという懸念も示された。

※この記事はPodcast番組をもとにAIを用いて自動生成されたもので、誤った情報や不完全な記述を含む可能性があります。正確性や品質は保証されませんので、必要に応じて他の情報もあわせてご参照ください。