南京事件88年、式典で強まる中国の日本牽制
元RKB解説委員長で福岡女子大学副理事長の飯田和郎氏が、先週土曜日に中国・南京市で開かれた「南京事件」88年の追悼式典を題材に、冷え込みが続く日中関係の現状について解説した。依然として凍りついたままの両国関係だが、今回の式典を通じて中国側の対日姿勢の硬化がより鮮明になったと指摘している。
南京での追悼式典、国営テレビで全国生中継
日中戦争下の1937年に旧日本軍が多数の中国人を殺害したとされる南京事件から88年を迎えた12月13日、南京大虐殺記念館で大規模な追悼式典が執り行われた。この日は国が定める追悼の日であり、式典の模様は国営テレビで全国に生中継されるなど、国家的な一大イベントとして位置づけられている。
一部では習近平国家主席の出席も観測されたが、最終的に姿を見せることはなかった。これについて飯田氏は、「北京から遠く離れた南京での式典に最高指導者自らが出席して日本を非難する演説をすれば、その効果はどうなんだろうか」と疑問を呈し、「むしろトップは姿を見せない方が権威を示せるし、日本への威圧になる」との見方を示した。
式典演説に「軍国主義復活」の日本牽制
今年の式典で演説を行ったのは、中国共産党のトップ24人の一人である組織部長。昨年の式典と同じ職位の人物が登壇したものの、その演説内容には顕著な変化が見られたと飯田氏は語る。昨年の演説にはなかった一節として、「軍国主義を復活させ、戦後の国際秩序に挑戦し、世界の平和と安定を壊そうとする企ては必ず失敗に終わる」という強い表現が加えられたのである。
飯田氏は、この変化の背景には台湾有事を巡る高市総理の答弁に端を発した、ここ1ヶ月に及ぶ中国の日本非難の流れがあると分析。歴史認識問題と絡めて日本への牽制を強める中国の意図が浮き彫りとなった。
犠牲者30万人、南京大虐殺記念館の実態
南京事件を巡っては、犠牲者の数で日中の見解が大きく異なる。中国政府が犠牲者を30万人と主張するのに対し、日本の外務省は非戦闘員の殺害や略奪の事実は否定できないとしつつも、被害者数については諸説あるという立場だ。
その中国側の主張の象徴となっているのが、南京大虐殺記念館である。飯田氏は過去に訪れた際の印象を、「一言で表現すると、『日本人、館内で声を出して日本語で喋るのは避けたい』、そんな感じですね」と振り返った。
危害を加えられるわけではないが、残虐行為の展示が続く館内で日本人であることを明かすのはためらわれる独特の雰囲気があるという。中国がこの事件をいかに重視しているかは記念館の規模からも明らかだ。
ドイツと比較し日本を批判する中国の外交術
中国の日本に対する厳しい視線は、外交の舞台でも見られる。飯田氏は、先週行われた中国の王毅外相とドイツの外相との会談に注目。この席で王毅外相は、「ドイツと異なり、日本は戦後80年が過ぎても侵略の歴史の反省が徹底されていない」と、名指しは避けつつも明確に日本を批判した。
さらに「日本の現職の指導者による台湾を巡る誤った発言が重大な危害をもたらしている」とも言及。飯田氏によれば、これは先の対戦で同盟国だったドイツを引き合いに出し、「歴史を反省するドイツ」と「反省しない日本」という対比構造を作ることで、その場にいない日本を効果的に批判する中国の常套手段であると解説。日中関係の冷え込みは、今後も長期化する懸念が強まる結果となった。
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